スタッフ紹介 (詳細はこちらから)

医 師 名職  名専  門
大谷 明夫 おおたに はるお 病理部長(併任)病理科
大谷 紀子 おおたに のりこ 非常勤医師病理科

診療科の特色

病理科は医療行為の一つである病理診断を担当する部門として活動しています。水戸済生会総合病院と茨城県こども病院の二つの病院を常勤医師1名、非常勤医師1名で担当しております。病理医師の仕事について説明します。たとえば、胃内視鏡検査をうけた場合、病変の一部から検体を採取し、それを「固定液」にいれ、病理に提出し、病理診断を受けます。「固定」とは、フォルマリンなどの固定液に検体をいれることを言います。これにより、組織は非可逆的に変化し、自然状態ならおこる自己融解を止め、そのまま組織が保存されます。また固定液は生きた細胞にとっては有害です(ですから扱いには注意が求められるし、廃液はすべて回収しています)。固定された検体は、機械によって脱水をうけ、そしてパラフィンの中に固められます。これを病理検体のパラフィンブロックと呼んでいます。これをミクロトームでもって、薄く切ります。それをガラスにはりつけ、そのあと色素でもって染色します。通常はヘマトシキリン・エオジン染色です。これで病理標本が出来上がります。ここまでの作業は病院の検査部門の検査技師によってなされます。そうしてできた病理標本を顕微鏡で観察し、その所見をもとに我々病理医が診断をおこないます。

手術摘出標本の場合は、検体が大きいので、切り出し、という作業が必要になります。これには肉眼観察でもって病変の全体像を理解し、診断に必要な部位を切り出し、病理標本とします。

このような病理標本作成にはまる一日以上の時間がかかります。診断は速い場合は、一件 2-3分ですむことがありますが、解釈の難しいものは、教科書や文献などを調べる必要があります。いろいろな特殊な染色がもとめられることがあります。たとえば、現在では免疫染色というものが幅広く応用されています。これは、特定の物質に対する抗体を用い、組織切片上のその抗体により認識される部位を標識し(=特定の色素をつける)、それでもって診断の補助にする、というものです。年々その重要度はましております。さらに難しいものは、その疾患の専門家にコンサルテーションすることもあります。

このほか、術中迅速診断というのがあります。これは手術中に特定の部位の検体を出してもらい、それを凍結切片という方法で 15-20分程度で標本を作製し、それを用いて、病理診断するものです。結果は電話でもって、手術者につたえます。

病理解剖について。これは不幸にして亡くなられた患者で、病気の状態を詳細に知りたい場合おこないます。もちろん亡くなった方のご遺族の同意が必要です。同意がえられれば、亡くなった患者の臓器をとりだし、病理医が病気の状態を調べることになります。臨床医に重要な情報をあたえられますし、また病理医にとっても貴重な教育の機会ともなります。

昨年(2015)一年間での実績です。生検と外科摘出例をあわせ組織診断 447件(うち迅速診断 16件)、解剖 2例です。

症例検討会について。臨床医と病理医の交流を通じ、診断を深める必要があります。そのため特定の症例について臨床病理症例検討会 (clinicopathological conference, CPC)を行っています。これは病院の診療向上と病理医の教育にとって重要なことです。CPC は昨年一年で合計16回行っています(病理発表のある cancer boardを含む)。

また病理診断科は臨床医と協力して学会発表および論文作成も積極的におこなっています。

これは地道で、かつ、重要な活動です。病理科では昨年に英文原著論文(peer-reviewed original papers)二つを発表しております。

病理診断科はこのような活動を通して病院の診療に貢献しております。今後とも皆様のご協力をお願いします。


2015年 誌上発表

Ohtani H, Mori-Shiraishi K, Nakajima M, Ueki H. Defining lymphocyte-predominant breast cancer by the proportion of lymphocyte-rich stroma and its significance in routine histopathological diagnosis. Pathol Int 2015;65(12):644-51. doi: 10.1111/pin.12355.

Ohtani H, Komeno T, Agatsuma Y, Kobayashi M, Noguchi M, Nakamura N. Follicular dendritic cell-meshwork in angioimmunoblastic T-cell lymphoma is characterized by accumulation of CXCL13+ cells. J Clin Exp Hematopathol 2015;55:61-69