小児泌尿器科

診療科の特色

小児泌尿器科の対象となる疾患は先天性 (生まれつきの)疾患が圧倒的に多く、腎・尿路・生殖器における機能の回復および障害発生の予防を目的に手術を行います。臓器温存を目的とした広義の再建手術が大多数を占め、摘出術や切除術を主とする成人泌尿器科の手術とは大きく異なります。

現在では小児泌尿器科は専門分野となっていますが、欧米でも日本でもその発展には泌尿器科専門医と小児外科専門医の二派が大きく貢献してきました。小児泌尿器科を専門としているのは一部の泌尿器科医や小児外科医であるため、対象疾患の治療(手術)ができる病院は限られています。

当院での小児泌尿器科の診療は、平成16年度から本格的に開始しました。平成19年度から非常勤体制となりましたが、平成20年7月より小児泌尿器科部長が就任し、小児泌尿器科認定医2名で現在の体制を継続しています。

人員と連携の面から小児外科のスタッフと共に診療を行っており、当院では年間 600~700件の小児外科手術を施行していますが、200件前後を小児泌尿器科手術が占めています。手術の方法および器具の工夫や患児・家族に負担が少ない術後管理を採用することによって、手術時間や入院期間の短縮を図り、優しく安全な治療となるように心掛けております。

近年、小児分野でも一般的になってきた低侵襲の内視鏡外科手術minimally invasive surgery(MIS)を当科では早くから取り入れて実績を重ねてきました。安全性を十分に検討したのちに様々な疾患に対して腹腔鏡手術や後腹膜鏡手術を採用しており、傷が目立たないようにするなど、術後の回復のみならず心理的な負担も軽減できるように努めています。当院には日本内視鏡外科学会の技術認定医(小児外科部門)が3名在籍しており、内視鏡外科手術もより安全に行うよう日々努力しております。

対象疾患

  • 腎・副腎
    嚢胞性腎疾患、融合腎 (馬蹄腎など)、腎腫瘍、副腎腫瘍など
  • 尿管
    水腎症 (腎盂尿管移行部通過障害など)、巨大尿管・水尿管症(尿管膀胱移行部通過障害など)、重複腎盂尿管、尿管異所開口、尿管瘤、尿管結石など
  • 膀胱
    膀胱尿管逆流、膀胱憩室、膀胱外反、総排泄腔外反、尿膜管遺残、神経因性膀胱、膀胱腫瘍など
  • 尿道
    尿道下裂、尿道上裂、後部尿道弁、尿道憩室、尿道狭窄、重複尿道、前立腺小室嚢胞、尿道脱など
  • 精巣・陰嚢
    停留精巣、移動性精巣、精巣腫瘍、陰嚢水腫、急性陰嚢 (精巣捻転・精巣上体炎など)、二分陰嚢など
  • 陰茎
    包茎、埋没陰茎、傍外尿道口嚢腫など
  • 卵巣・子宮・膣
    卵巣嚢腫、卵巣腫瘍、尿生殖洞異常、総排泄腔遺残症、総排泄腔外反症、MRKH症候群、膣欠損・膣閉鎖、処女膜閉鎖、陰唇癒合など
  • その他
    尿路感染症、排尿障害、昼間尿失禁、夜尿症、血尿、性分化異常、後腹膜腫瘍など

手術・治療情報データベース事業(NCD)に参加について

当科は、 一般社団法人National Clinical Database(NCD)が実施するデータベース事業に参加しています。

この事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さんに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。

この法人における事業を通じて、患者さんにより適切な医療を提供するための医師の適正配置が検討できるだけでなく、当科が患者さんに最善の医療を提供するための参考となる情報を得ることができます。何卒趣旨をご理解の上、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

本事業への参加に関してご質問がある場合は、当科のスタッフにお伝えください。また、より詳細な情報は下記に掲載されていますので、そちらもご覧ください。

一般社団法人National Clinical Database(NCD)ホームページ