お子さんの手術について、「話すべきか…」「いつどうやって…」と、悩むご両親も多いようです。中には、怖がらせないようにとの思いから、何もお話しされない場合もあります。でも、「何をされるのか分からない」方が怖いこともあるようです。分かっていれば、「嫌だ」「怖い」という気持ちを聞いてもらったり、質問したりして心の準備ができます。分からないときには、豊かな想像力で大人には思いもよらないことを想像してしまうことがあるものです。
実際、未知のことより、予測できることに対応する方が、子どもの心的ストレスが軽減されるといわれています。お子さんのエキスパートはご両親です。下記の点を参考に、お子さんの心の準備を一緒にしてみてはいかがでしょうか?
タイミングは?
お子さんの性格や発達の個人差にもよりますが、以下を目安にしてみて下さい。年齢にとらわれず、お子さんの不安や入院経験なども合わせて調節してください。幼少のお子さんは時間の概念が発達していませんので、あまり早く話してもかえって不安な時間が長くなってしまったり、大切なことを忘れてしまったりします。一方、小学生くらいになると、理解力が出てきますので、直前だとかえって考えなおす時間がなくて、不安になってしまうことがあります。
2~3,4歳 | 1日もしくは2日前 |
4~7,8歳 | 3,4日前くらい |
7,8歳~ | 一週間前くらい |
どんなふうに?
- いつ、なぜ病院へ行くのかお話しましょう。
たとえば、「おなかのこぶを治してもらうのよ」というような本当にシンプルな説明で十分です。「切る」「刺す」などの直接的な表現よりは、「小さな入り口を作って」「チクッと」などのように、別の表現を使うと良いでしょう。ただ、お子さんが使うことも多いと思いますので、無理に使わせないようにする必要はありません。なるべく怖くない言葉を選ぶことをおすすめします。
小学生になると、体の仕組みに興味を持つお子さんもいるので、絵に描いてお話してあげるのも良いかもしれません。シンプルな図鑑などを用いるのも一つの方法です。 - 簡単に病院の様子や手術の日はどんな様子かお話しましょう。
どんな人がいて、何をしてくれる人なのか、知ってると思い込まずに説明してあげるといいかもしれません。また、実際に見たり、感じたりすることをお話するとよいでしょう。そうすることで、予測がつきやすくなります。
例えば、モニターを付けたり、マスクをして眠ること、寝るまで一緒にいられることなどです。マスクやキャップをかぶるスタッフが不気味に見えることもあるようです。ただ、実際にご両親も良く分からないのにお話しするのは難しいと思います。お子さんの様子から必要があれば、スタッフにもご相談ください。
特に、お人形などを使って遊びながらお話しできると、お子さんも想像しやすいですし、リラックスして参加できるのでよい方法です。 - お子さんのお話を聞きましょう。
「お腹治すのどう思う?」など、どんな気持ちを抱いているのか聞いてあげましょう。時々、何か悪いことをしたせいだと思っていることがあります。誰のせいでもないことを伝えてあげましょう。その他、何か思い違いをしていることや知りたいこともあるかもしれません。
とはいっても、お話が得意なお子さんばかりではないですよね。そんなときは、お医者さんごっこや絵本を通して、お子さんが表現できることもあります。遊びながらお子さんの言葉などに注意してあげましょう。
よくお子さんが心配すること
- 麻酔で眠れないのではないか。
- 途中で目が覚めてしまうのではないか。
- 目が覚めなかったらどうしよう。
- 起きた時どうなってるの?
絵本の紹介
“心の準備”として絵本を利用するときには、絵本の内容とお子さんの状況との相違点や絵本がファンタジーの要素が強いのか、それとも現実に近いものなのかを意識して、お子さんに声をかけてあげるといいと思います。(例えば、、、「○○ちゃんは、びょういんにはおとまりしないのよ」「ちっくんじゃなくて、マスクでねむるのよ」などのように)
ファンタジーの要素が強いお話は、“心の準備”には向いていないかもしれません。しかし、入院経験があって病院の様子をある程度わかっているような場合には、おもしろおかしく病院を見てみたり、自分の過去の経験を話すきっかけとなるかもしれません。両方上手に使えるといいですね。
- ガスパールびょういんへいく(ブロンズ新社)
- うさこちゃんのにゅういん(福音館書店)
- ひとまねこざるびょういんへいく(岩波書店)
- ノンタンがんばるもん(偕成社)
- さるのせんせいとへびのかんごふさん(ビリケン出版)