診療科紹介 INTRODUCTION

各診療グループ

総合診療科

診療領域

総合診療科では感染症、痙攣重積、医療的ケア児の全身管理、アレルギー疾患、腎疾患、膠原病、代謝・内分泌疾患、消化器疾患、交通外傷、頭部外傷などの多岐にわたる疾患を幅広く診療しています。また、茨城県央・県北の重症救急患者さんを全て引き受けています。具体的には救急外来や救急車・ドクターヘリの対応、ICUでの集中治療など、様々な場面での診療に携わっています。多臓器にわたる病変を有する患者や家庭環境などを含めた患者さん全体を診る必要があるため、各専門診療科や小児外科・泌尿器科、、脳外科、整形外科、また、コメディカルの方々(看護部、薬剤部、リハビリテーション部、MSW、臨床心理士など)と密接に連携して診療にあたっています。

学ぶべき事項・経験できる検査・治療の手技

救急車の対応(年間1,400件程度)、呼吸・循環管理・輸液・抗生剤治療などを含む集中治療、血液浄化療法(年間4-5件程度)、内分泌負荷試験、免疫抑制療法、上部および下部消化管内視鏡検査・治療・ERCP・小腸カプセル内視鏡検査といった消化器内視鏡検査(計年間120件程度)、医療的ケア児の在宅医療の導入、虐待症例における児童相談所や警察との社会的対応など。小児科医にとって基本的かつ重要な事項や手技・検査を、上級医の指導のもとで集中的にトレーニングできます。

小児消化器内視鏡はこちら

神経精神発達科

当科は、主に障害児医療を担っています。障害児医療は、当院の主翼である高度専門医療と切り離せません。私たちは、救命されたものの障害を残したこどもたちが、自分にふさわしい新たな道を見出し成長・発達していくプロセスに深く携わっています。そこには、こどもの成長・発達に関する基本的な知識、様々な障害に対する専門的な知識や緩和の手立て、こども一人ひとりの内面への洞察、こどもと家族へのエンパワメントスキル、社会的・倫理的な課題への解決能力などが求められます。そのような力を総動員してこどもたちに向き合っていくことは、小児科医としての醍醐味とも言えます。当院は小規模であるがゆえに、様々な診療科や他職種の人たちと連携して取り組むなかで、この醍醐味を実感できます。

当科のもう一つの特徴は、疾病の克服に向けた挑戦です。かつては根本的な治療法がなかった疾患についても、近年は主病態を修復できる様々な治療が開発され、臨床現場に登場しています。神経筋疾患に対する核酸医薬や遺伝子治療がその代表で、それらの治療を茨城県では当科が筑波大学小児神経グループとともに担っています。そして、私たちはこのような治療の成果を、学術的な場で全国に向けて発信することにも努めています。

診療領域

てんかん(>300例)、脳性麻痺(>50例)、重症心身障害(>30例)、発達障害(>350例)、重症筋無力症(3例)、筋ジストロフィー(8例)、先天性ミオパチー(3例)、脊髄性筋萎縮症(2例)、ミトコンドリア病(5例)、急性脳症(10例)、急性散在性脳脊髄炎(2例)、視神経脊髄炎(1例)、ギランバレー症候群(1例)など、身近な病気から希少疾患まで幅広く診療を行っています。

()内は昨年度実績

経験できる検査・治療の手技

長時間ビデオ脳波(>20件)、脳波(>500件)、各種誘発電位(>50件)、針筋電図(3件)、誘発筋電図(2件)、末梢神経伝導速度(10件)、筋生検(3件)などを行っています。脳波の読影を習得できます。

()内は昨年度実績

循環器科

診療領域

先天性心疾患、川崎病、不整脈、心筋炎、心筋症など、幅広い診療を行っています。心臓血管外科とタッグを組み、周術期管理から中~長期の治療戦略まで患者さんに最適な医療を提供しています。

経験できる検査・治療の手技

心エコー、心臓カテーテル検査(年間約100件)、カテーテルインターベンション(コイル塞栓、バルーン拡張術、心房中隔裂開術(BAS)、年間約20件)、心電図、負荷心電図、ホルター心電図、胎児心エコー、遺伝性不整脈の遺伝子検査(研究)

新生児科

診療領域

新生児科は、隣接する水戸済生会総合病院の産科(周産期センター)と協力し、ハイブリッド型総合周産期母子医療センターとして、茨城県の県北・県央ブロックのハイリスク新生児疾患を対象に24時間の集中治療を行います。新生児病棟(NICU18床・GCU18床)における集中治療を活動の主体としていますが、退院後の発育・発達のフォローアップも行っています。また、周産期センター入院中の新生児の診察や1か月健診、RSウイルスに対するシナジス接種も行っています。

当科の特色は小児外科、小児泌尿器科、心臓血管外科、脳神経外科、整形外科、眼科の協力を得て、緊急な外科治療が必要な疾患を含むハイリスクな新生児の対応が可能なことです。また、院外出生に対しても、24時間365日、新生児専用救急車を用い、分娩立ち合い、新生児搬送を積極的に行っています。

新生児病棟に入院した赤ちゃんのご家族は、退院後も育児上の不安を抱えているケースが多いため、医師や看護師だけでなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・保育士・臨床心理士・メディカルソーシャルワーカーも参加したフォローアップ体制をとっています。

学ぶべき疾患・検査・治療の手技

新型コロナウイルス感染症に影響した出生数減少により入院数(347名/年)は減少しましたが、超低出生体重児(15名/年)、極低出生体重児(28名/年)、気管内挿管による人工呼吸器管理患児(94名/年)、先天性心疾患患児(17名/年)、外科系疾患患児(20名/年)などは多数経験できます。特に新生児蘇生、ライン確保、気管挿管については、自身が持てるように指導します。また特殊治療は、新生児低体温療法(3例/年)、一酸化窒素吸入療法(10例/年)なども経験できます。新生児専用救急車を所有しており、年間40件程度の新生児搬送をしています。

その他

キャリア形成として、当院は小児科専門医取得後に周産期(新生児)専門医を取得するための研修が可能な基幹施設にも指定されています。また、周産期にかかわる全ての人材を対象に新生児蘇生法講習会を積極的に開催し、周産期医療の向上に貢献しています。

研究については、超音波関連、早産児の発達障害などの臨床研究のみならず、積極的に多機関共同研究を行っています。

論文作成の指導を行っている他に、医療統計に詳しい指導医もおり、医療統計をしっかり身に着けることも可能です。

血液腫瘍科

診療領域

白血病・悪性リンパ腫などの造血器腫瘍や、神経芽細胞腫などの固形腫瘍、すなわち小児がん、それらに加えて貧血、血小板減少症や血友病などの非腫瘍性良性疾患の治療にあたっています。

小児の同種造血細胞移植を行う施設は、県内では当院だけです。白血病などの腫瘍性疾患の患者さんだけではなく、造血不全や代謝性疾患、原発性免疫不全症の患者さんも対象となります。また、国内の小児病院では唯一、骨髄バンクの骨髄採取施設として、ドナーからの造血細胞採取術を行っています。

経験できる検査・治療の手技

骨髄検査、骨髄スメア形態診断、髄腔内注射、化学療法の計画と実施、同種造血細胞移植、自家造血細胞移植併用大量化学療法、骨髄採取術、末梢血造血細胞採取術などです。臨床に加えて小児がん研究センターで分子生物学的研究も行っています。俯瞰的であると同時に微視的な観点から精密で精確な診断と臨床的判断を下すようになるのが目標です。目標を達成できるようサポートします。