茨城県立こども病院の後期研修医が日々学んでいることを皆さんにも共有していきたいと思います。
今日は子どもの痛みの評価についてです。
当院では毎週クリニカルカンファレンスという場で、担当になった医師が勉強になった貴重な症例や過去の症例をまとめた報告などをしてくれています。
今日の担当は後期研修1年目の今川先生でした。
「熱傷処置の鎮痛に難渋した1例」ということで発表してくれました。
熱傷処置の基本は「シャワー+泡での洗浄」と「ワセリン塗布+メロリンガーゼによる保護」が一般的です。この処置には疼痛が伴うため、適宜、アセトアミノフェンやオピオイド製剤による疼痛管理を行なっています。
ここで成人と異なってくるのは「いかに患者さんの疼痛を評価するか」という点です。
疼痛の訴え方には以下のように年齢によって差があります。
小児の疼痛の評価スケールをいくつかご紹介します。
ペインスケールは患者さんの表情から疼痛の程度の評価をします。3歳から使用可能ですが、痛み以外の気分を反映する可能性が高いため5歳以上での使用を推奨されています。
NRSとは7~8歳から使用可能で、痛みが全くないものを0、考えられる中で最も痛いのを10として11段階でどの程度かを伝えてもらうものです。
これらの評価方法を複合的に使用しながら疼痛の評価をしていきます。
以前、小児は神経組織が未熟でと考えており、痛みの評価が十分にされてきませんでした。しかし、新生児期の疼痛の経験がその後の疼痛への反応や認知機能に影響ということが研究の結果わかるようになり、現在では小児においても痛みへの理解、評価、介入が重要視されるようになってきています。(小児内科, Vol.52, No.7「小児の鎮痛・鎮静」を実践するためのTIPS, 2020.7)
適切な疼痛評価の上、患者さんの将来にトラウマを残さない医療を提供していきたいと考えています。