アナフィラキシーと聞いた時、どんなイメージをお持ちですか?
「アレルギー症状の中でも重症なもので、命の危険を脅かすもの」というイメージは大体の人があるかと思います。
では、救急外来でアレルギー症状で受診された患者さんを正しくアナフィラキシーかどうかを評価するために最も大事なことをこれから説明します。
以下の表を覚えてください。そうすれば、アナフィラキシーかどうかを正しく評価できるようになります。
アナフィラキシーガイドライン2022
後ほど、詳しく説明していきます。
まず、アナフィラキシーの診断基準については以下の2のうちいずれかを満たす場合にアナフィラキシーとするとアナフィラキシーガイドライン2022で説明されています。
1つ目は以下の基準となります。
PEF(ピークフロー): 最大呼気流量
アナフィラキシーガイドライン2022
皮膚症状に加えて、重度の呼吸器/循環器/消化器症状を認めた場合にはアナフィラキシーと定義することになります。ここで注目すべきは、どんなに全身の蕁麻疹や紅潮が重度だったとしても、それだけでアナフィラキシーとは呼ばないということです。
次に2つ目は以下の基準となります。
アナフィラキシーガイドライン2022
2つ目の基準では皮膚症状がなかったとしても重度の循環器症状や呼吸器症状がみられる場合にはアナフィラキシーとすることとされています。
なかなか2つの基準を患者さんを目の前にして思い出しながら治療するには時間がかかってしまいます。そこで、先ほどの表が登場します。
アナフィラキシーガイドライン2022
まず、患者さんが来院されたら、その症状がそれぞれの臓器別にグレード1(軽症)、グレード2(中等症)、グレード3(重症)のどこに当てはまるのかを考えて、当てはまるところに○をつけていきます。
基本的にアナフィラキシーと定義されるのは
診断基準①の場合にはグレード2(中等症)の皮膚症状+グレード2(中等症)以上の他の臓器での症状
診断基準②の場合には状況証拠+グレード3(重症)の循環器、呼吸器症状
となります。いきなりアナフィラキシーかどうかを判定しようとせず、それぞれの臓器別の症状の重症度をしっかり評価することから始めましょう。